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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第2章 比翼連理




「いいんだよ。睦ちゃんのいいように…」

「うん……じゃあ今日は
自分の店に戻るよ」

ちょっと声を落とした私を、
もう一度抱きしめて、

「睦ちゃん、ほんとにありがとうね。
おじちゃんもおばちゃんも、とっても助かったよ。
これからだって、何もなくたって、
いつでも寄っておくれね?」

優しく言ってくれる。

「うん…うん。おばちゃん、ありがとう」

「ふふ、さぁ、行っておいで?」

おばちゃんは私を離すと、
そっと背中を押してくれた。
2人の優しさに後ろ髪ひかれるが、
私は前を向いて、歩き出したのだった。






午前中からお店を開けたのは久しぶり。
1週間ぶりの事だ。
とりあえず店の扉と小窓を開けて
空気の入れ替えをし、
その間にお店のレイアウトを変える。

見た目も新鮮にしないと、
お客さんも飽きてしまう。

この頃ちょっと暑い日もあるし、
やっぱり簪か。
こっちの扇子も前面に出しておこう。
定番は少し奥に。

この仕事、やっぱり好きだなぁと思う。

品出しをしていると、
2人連れの女性客が入ってくる。
にこにことお話をしながら、
どれがいいか楽しそうにしている様は
私にとって小気味いい。
買ってくれようとくれまいと、
この人たちの楽しい時間の一部になれる事が、
とても嬉しい。
私もつられて、ニコニコ顔になる。

この店を出すのを後押ししてくれた
おじちゃんとおばちゃんには、
やっぱり感謝してもしきれないと思うのだった。







その夜——

私は部屋を開け放ち、夜空を見上げていた。
1人、縁側の柱にもたれて。
きれいな月。
三日月だ。
時折、風が吹き抜けて、
草木を揺らすその音が、
心を落ち着かせてくれる。

色々あって、疲れたのかな。

私は何となく、
左足を立てて、
足首をさする。

1週間ぶりに、ゆっくり過ごす夜だ。
よけいな音のしない、穏やかな。

月を見上げたまま、目を閉じる。

 あぁ、…このまま、眠ってしまうのもいいかな…






「………睦」





急に名前を呼ばれ
ガタッ‼︎と、縁側からおっこちそうになる。
驚いた!




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