第2章 比翼連理
おばちゃんの熱はなかなか下がらず、
結局平熱に戻ったのは5日後の事だった。
この流行病で、亡くなっている人の話しも聞く。
おばちゃんは、運が良かったのだと、
おじちゃんから聞いた。
その5日の間、
私は1日目と同じ生活を続けた。
ただ2日目からは、
帰宅後のお風呂もごはんも
ちゃんとするようにがんばった。
おじちゃんの言う通り、
慣れたらそれなりに動けるようになっていた。
7日目の朝、
いつものようにお店に行くと、
おばちゃんが働いているではないか。
「おばちゃん!もう大丈夫なの⁉︎」
私はあいさつも忘れて駆け寄った。
私に気づいたおばちゃんは、
「睦ちゃん!
おはよう、今日も来てくれてありがとうねぇ」
子どもにするみたいに頭をなでてくれる。
「まだゆっくりしてた方がいいんじゃないの?」
私は心配でたまらないが、
おばちゃんはカラカラと笑った。
「もう充分ゆっくりさせてもらったよ!
熱が下がって、
そこから2日も大事を取らせてもらったんだから大丈夫大丈夫!」
おじちゃんも顔をのぞかせて、にっこり笑う。
「睦ちゃん!おはよう。
今日からおばちゃん復帰だぞ!
本当にありがとなぁ。助かったよ!」
「睦ちゃん、頼れる大人になったんだねぇ」
おばちゃんが、
昔よくそうしてくれたように
ぎゅっと抱きしめてくれる。
懐かしいその感触に、
私は目を閉じて
「おばちゃんが良くなって、よかった…」
つい、泣きそうになってしまった。
「睦ちゃんのおかげだよ。
毎日、大変だったでしょ?」
おばちゃんは私の肩に両手を置いてにっこり笑う。
「おじちゃんとおばちゃんの為なら、
私なんでもやるよ!」
私の本心だ。
「睦ちゃん、今日はもう
自分の店の方へ行っても大丈夫だよ。
来てくれたんだし、手伝ってくれてもいいが。
睦のいいようにしな」
おじちゃんは、そう言うと
自分の持ち場へ戻っていった。
私に、気を遣ってくれている。
「そうだね。
でも睦ちゃん?
お店、この1週間ほとんど何もできてないでしょ?
こっちは大丈夫だから、
そっちに手を回しておくれ」
「いいの?」
こっちも心配だが、
自分の店が気になるのも事実だ。