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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯





睦の背中をぎゅうっと抱きしめた。

「っくるしい」

どうしたらいいのかわからないように
言い訳をする。
息が苦しいほど、強くしてねぇし、

「離さねぇもんね」

「え…?」

「このままいる」

俺は睦の肌に擦り寄った。
小さいのにあったかくて
包み込んでくれるこいつと、
こうしてくっついている時間が好きだ。
相変わらず病気だ。
でもいい。
この病気、気に入ってるから。

「天元、ちょっと、ゆるめて…?」

肩に置かれた手を
すかさず握り、自分の頬に擦り付けた。
睦は少し緩まった抱擁に
ホッと息をつく。
そして俺の頬をよしよしと撫で

「…ありがとう」

ぽつりと呟いた。
睦の胸元から見上げ、窺う。
目が合うと、うすく微笑んで

「色々、ありがとう」

もう一度言った。
なんの礼なのかは、明確にはわからなかったが
ここ最近、稀に見る晴れやかな表情をしていて
……まぁいいか、なんて考える。

「んー…俺も。ありがとな」

「…何で、天元がありがとなの?」

目をぱちくりとさせてこちらを見た。

「俺の話を聞いてくれて」

「…聞く…に決まってる…」

「睦…」

「いっつも私のために
いろいろしてくれてありがと。
情けないけど、
私もう天元いないと生きていけないの」

そんな事を言う睦の頭を引き寄せ、

「……やっと?」

意地悪く訊いてみる。
すると、少し慌てた様子で

「もっと前からだよ!」

手にぐっと力を入れた。
そんな慌てなくても…。
つい笑った俺を見た睦は
安心したように口を閉じた。

おもむろに俺から手を離し、
夜着を直してしまう。

「…何で直すんだよ」

「何でって…ちょっと寒い」

……

「そうか…」

俺は暖めるように抱き寄せた。

「あったかい…」

「そうだな」

「…眠たくなってきちゃったな…」

「ん…布団いくか?」

「ん…」

もう、半分寝てんじゃねぇか。

「ちょっと動くぞ」

起き上がった俺は
横たわっている睦を
布団まで運ぶべく抱き上げた。



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