第17章 愛月撤灯
「うそ…痛かったでしょ…ごめん…」
「痛かねぇよ。
だいたい俺のせいなんだからいいんだよ」
「……」
納得いかないような顔で黙り込む。
…まったくもう…
「お前にされる事なら何でも嬉しいんだよ。
そもそも俺は、お前を好きに抱いてんだから
お前だって好きにすりゃいい」
「…違うよ、痛いでしょ?」
「何度やめてって言われてもやめねぇ俺が悪ィだろ」
「……」
簡単に言い負かされる睦。
まだまだ可愛いモンだ。
「天元は…甘すぎよ、私に」
仕方なしに、俺に擦り寄ってくる。
それを腕の中に抱き込んで、
「睦は俺のモンだからなぁ」
そんな言葉を吐く自分に笑った。
睦の言う通り、
こいつには甘やかししかねぇ。
俺はホントにイカれてる。
「血、出てない?」
それでもまだ心配そうに言い、
自分のツメを見つめていた。
「気にすんなっての。
そんなモン大したことねぇ」
「だって、バイ菌でも入ったら…」
「この俺様が
そんなモンに負けるわけねぇだろうが」
睦のツメから入ったバイ菌なら
この体ン中で大切に育ててやらぁ。
「それとも何か?
キズ口、舐めて治してくれんのか?」
そこまで言わせる睦も罪作り。
「しっ、しないよバカ!」
俺の肩をドンと殴った。
「照れちゃって。かーわい」
頬を染めている睦に
たまらず唇を寄せる。
気づいた睦は、素直に目を閉じた。
唇で、睦の下唇をはむっと挟んでやると
かぷっと、上歯で俺の上唇に食いついてくる。
その瞬間、同時に目を開けた俺たちは
ばっちり目が合ってしまい…、
ふっと笑った顔をそらした。
「何すんだ睦、俺のこと食うなよ」
「だって、くすぐったかったから止めたくて…」
「くくく、可愛いヤツ」
小さな頭の下に腕を差し入れて、
身ぐるみ抱きしめてやる。
いつもなら、このまま眠っちまう所…
でも今寝てしまったら、
目覚めは真夜中になるだろう…
「睦、ちょっと休むか?」
「んー…でも、時間が…」