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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第17章 愛月撤灯












翌日、天元は本当におさんぽに付き合ってくれた。
ちゃんと、あの着物を身につけて。

私はもう大いに浮かれていた。
だってこんなに好きな事をさせてもらって
いつも優しいけど
それに輪をかけて優しいし
ひどく甘えさせてもらって
嬉しくないわけがない。

今日は朝ごはんの食べ過ぎも防げたし
万が一、お茶屋さんに行く事になっても
大丈夫なはず。
昨夜はしっかり休んだおかげで
疲れが出る事もなかった。

当てもなく行くさんぽは楽しくて
どこまでも歩けそうな気がしていた。

秋の陽気は私の機嫌も良くしてくれて
少しだけ前を行く彼の大きな手を弄びながら
上機嫌で前へ進む。

たまにこちらを振り返って
私の様子を窺ってくれる天元は、
目が合うたびににこっと笑ってくれて
それがまた、私の機嫌をよくしてくれる。

「今日は、疲れたりしてねぇか?」

「ありがとう。大丈夫」

「無理せずのんびり行こうな」

「うん!」

天元の言葉は
さんぽの事を言っているようで、
この先の2人の人生を語っているようにも聞こえて
とても嬉しくなった。

溢れた気持ちは、
私の体を動かした。
彼の長い腕に抱きついてしまう。

「なんだ、どうした…っ」

急に飛びついた私を、
何かあったのかと驚いた天元が
辺りを見渡しながら力を込めて抱きしめた。

往来で突然抱きしめられてしまって、
私は頭が真っ白になる。
…いや、自分のせいだけど。

「……なにも、ない…」

「は…?あ、ぁ…」

納得してくれた彼は
私から腕を解いてくれて
大きなため息をつき己を落ち着けた。

「びっくりすんだろ。
なんかあったかと思ったわ」

「ごめんなさい…」

「いい、いい。好きなようにくっついとけ」

いたずらっ子のように笑ってくれる。

この頃、この人への愛しさが増したように思う。
それは彼が惜しみなく
私を慈しんでくれるからじゃないかな。

与えられると、返したくなる。
だからそうすると
今度はそれ以上に戻ってくる。
ずぅっと、その繰り返し。

「今日はどこまで行くの?」

「んー…どこかねぇ?
この辺りをぐるっと回っていいにするか」



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