第17章 愛月撤灯
「うん。天元だけ見てる」
睦からも口づけてくれた。
「…足りねぇか」
「え?」
「まだ、お前を埋めらんねぇか?」
「……」
睦は呆けて俺を見上げるばかり。
言葉を飲み込むのに時間を要す…、
「俺の愛は、足りねぇか。
お前の心を、まだあっためてやれてねぇか?」
俺が真剣なのを感じ取った睦は
大きく首を振り、
俺の両頬を強くつかんだ。
「そんな事ない!
私は、幸せだもん。身にあまるよ」
「もっと、あまらせてやりてぇんだよ」
睦はふと笑う。
泣いてるくせに。
「充分すぎる程だよ。ありがとう」
優しくて、穏やかに言った。
「溢れさせても、いいか?」
「……何を?」
睦は下から目を合わせてくれる。
俺のことを、見てくれる。
あぁ、俺の腕の中に、いるんだなぁ。
ただ眺めているだけだった愛しい存在が
ここにいて、しかも、俺のもの…。
「愛を」
「あ、い…?」
目をぱちくりとさせた睦が
あんまり愛らしくて、俺はたまらず口づけていた。
「睦…」
下唇にかぷっと噛み付くと、
声は我慢できたものの
体がぴくりと反応する。
「睦の、してぇ事は、何でも叶えてやる」
ちゅっと、そこを吸い上げた。
するとまたぴくっと体を跳ねさせる。
「っ…」
何か言いたげに目を開くが
俺は構わず続けた。
緩んだ唇から舌を侵入させ
睦のそれと絡ませた。
「!、ん…っ」
反射的に、俺の肩を押す睦。
でも、こうして口づけを続ければ
そんな事が出来なくなるのをわかっている俺は
攻めるような口づけを繰り返し与えた。
「睦…睦?」
「ん…?」
顎をつかみ、
唇を離して間近で見つめ合う。
すでにとろけた瞳。
訊くまでもねぇが…
「愛したい。…いいか?」
「あ…」
戸惑うように俯いた。
「睦」
促すように強く呼ぶ。
睦は、顎をつかむ俺の指を
きゅっと握って
「そんなの…きかなくたって…」
目を伏せた。