• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第15章 秋祭り【実弥】





自分も下駄をぬぎ、
式台に足をかけた彼に
一歩、押し込まれる。

私と同じ高さに上がったその途端、
身長差が広がって離れてしまう唇。
不意にできた2人の隙間。
熱を孕んだ熱い瞳をとらえて
…あれ?と思ったのも束の間、
声を上げる間もなく
噛みつかれる勢いで口づけられた。

これ、口づけだけで終わらないやつ…?

そう思うけれど、
こうも唇を塞がれていては言葉も紡げなくて、
困った私は無意識に一歩、一歩と下がっていく。

実弥さんはいちいちそれを察知して、
距離を取らせまいと迫って来た。
そのうち私は、
壁に突き当たってしまって逃げ場を失う。

「…んん!」

上から押し迫ってくるような影を押し返すも
びくともしないその人は、
私を気遣うように自ら身を引いてくれた。

「…何だァ」

余裕のない瞳。
手短に伝えないと怒り出すやつ…

「あの、…」

わかっているのに
うまく言葉が出てこない。
焦れば焦るほど…

私を待ち切れなくなった実弥さんは
再び私に唇を寄せる。

「…ぁ、ここで…っ」

触れ合う寸前で止まると、
私の目をじっと見つめた。

「…待てねぇ」

「…は…?」

呆けた私に深く口づけをした。

待てねぇって…
部屋まであと数歩だよ…
それだけも、待てないって…

何だろう、愛を感じるよ。

「…実弥、さん」

合間に呼ぶと
細く目を開き

「んー」

律儀に返事をしてくれる。
口づけはやまないけれど…
それでも

「…実弥さん…」

名前を呼ぶ。
実弥さんは唇から私の首筋に移動した。
私はその頭を抱きしめて

「…っ…さね…」

「……っあ″ぁ‼︎わぁったよ‼︎」

「…っい、た!」

しつこく呼ばれて、
私が何を言いたいのか理解した実弥さんは
したい事の邪魔をされて
憤慨し首筋に歯を立てる。

片腕で腰を思い切り抱き寄せ
空いた手で頬をそっと撫でてくれた。

小さく口づけを繰り返す合間に

「…睦、好き、だ…」

優しく囁いて、至近距離で私を見つめる。
自分で言っておきながら
彼の口づけに溺れていく私を見て、

「…可愛い、な…」

愛しげに呟いた。

「…こんなこと俺にさせんのお前くらいだろ…
俺のこと手玉に取りやがって…」






/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp