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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




3杯目を食べ終え、
早4杯目に手を伸ばす蜜璃ちゃんは
少しだけ声をひそめた。

「どう…って?
元気だよ。お店も、とっても好調」

「そうなの?よかったわねぇ!
また私もお店を見に行きたいわっ」

「うん‼︎ありがとう、ぜひ来てね」

私がにっこり笑ってみせると、
蜜璃ちゃんはハッとしたように顔をしかめ、

「違うわ!そうじゃなくてね?…」

また声をひそめた。

「うん…」

「ホラ、この頃…
何か今までと変わった事が、…ない?」

「今までと…?」

違う事…?
私が考えこむと蜜璃ちゃんは
我慢が出来ないというように、

「睦ちゃんたら!
宇髄さんの事よ!」

両手を自分の口に添え、
私の耳元に思い切り寄って囁いた。

「えっ⁉︎」

蜜璃ちゃんからそんな事を言われると思っていなかった私は驚いた。

「何で…」

「だってホラ、あの甘味処へ行った時、
そんな事を言われたから…。
睦ちゃんと行きたいけど、
急だし嫌がるだろうから、
私と一緒の時に同席させてほしいって…。
宇髄さん、ちゃんと私に事情を説明してくれたの。
男らしくて素敵だったわー‼︎
もう応援したくなっちゃって!」

「…そう、だったの…」

「うん!睦ちゃんに気をつかってねー、
あの時睦ちゃんが置いて行ったおだんごの代金、
私が預かってるのよ。
だから、今日のお代は要らないからね?」

蜜璃ちゃんはにこりと笑う。

そういえば、あれは宇髄さんのおごりだって言ってたっけ。

「宇髄さん、随分前から睦ちゃん一筋みたいなのよ?
その子に命をもらったんだって言っていたわ。
きっと睦ちゃんの事なのよね?」

……そういえばそんな事も言っていたっけ。

「…そう、なのかな…」

自信を持てずにいると、

「睦ちゃんはどうなの?」

と、訊かれてしまう。


「私は……
よくわからないの。
嫌いじゃないんだよ?でも、
どうなったら好きって事になるのか、
…よくわからなくて…」

伏し目がちに話す私を、
テーブル越しにぎゅっと抱きしめてくれて、

「睦ちゃん可愛いっ!
その人を思い浮かべてね、心が好きって叫んだら、
それが好きってことなのよ。
大丈夫。
きっと睦ちゃんの心が叫び出す時が来るからっ」



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