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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第14章 可愛い邪魔者





明るかった日差しが、ふと陰った。
障子を開け、縁側の向こうに目をやると
どんより曇り空。

空気を暖める事をやめた太陽。
途端に冷える肌。

そんな中、庭の洗濯物ははためいて…。

ふと、視線をずらすと
洗濯籠を抱えたまま、
縁側にしゃがみこんでいる睦を見つけた。

ぼーっと、庭の方を眺めていた。

俺はそれにゆっくり近づく。
睦はこちらを見るでもなく、
前を向いたまま。

「睦、何してんだ?」

背中から包み込むようにして自分もしゃがんだ。
少し後ろに引き寄せられた睦は
バランスを崩し俺の胸にもかれかかり
顔だけで振り返った。

「ん…ちょっと休憩」

慌てるでもなく、穏やかに答える睦は

「…疲れたか?」

そんなカオをしてる。

「んー…少し」

にこっと微笑んだ。
元気はあるようだ。
言葉通り、ただ休憩していただけらしい。

「何見てんのよ」

睦はまた前を向いた。

「洗濯物…風強いなと思って」

確かに。
音を立ててはためく洗濯物たち…。

「ひと雨くるかもしれねぇぞ」

「…うん。とりこもうか悩んでたの。
洗濯なんかするんじゃなかったな…」

淋しげなその言葉に、ふと見下ろすと
悲しそうな目が、揺れる洗濯物をただ見ていた。


——気づいたら、睦の唇を奪っていた。

何の脈絡もない行動に、
静かに驚いていた睦が
やっと俺のことを見てくれる。

「どんな睦も愛してるが、
笑ってるのが1番いい」

そう言った次の瞬間、
睦はフッと、優しい微笑みを浮かべた。

「ありがと」

少し照れたように言う。
睦は持っていた籠を床に置いて、
その手を、睦を抱きしめる俺の腕に絡めた。

「天元は、そろそろお出かけ?」

「あー…そうだった…」

「そんな顔しないの。大切なものなんでしょう?」

「まぁな…」

煉獄に借りた貴重な資料。
返しに行く約束だった。

「お前も行こうぜ」

半分本気。

「ふふ、そうしたいのは山々だけど…。
私もヒマじゃないんだよ?
雨が降り出す前にいってらっしゃい」




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