第13章 輪廻
「…怖いか?」
「今まであんまり幸せじゃなかったから、
いっぺんに幸せ色に変わっちゃうと、
ついていけないっていうか…」
「そうか…そんなモンか…」
それは、一理ある。
「じゃゆっくり時間をかけてってコトで…」
手始めにキスをしてみる。
届きやすいように伸び上がって、
俺の顔の両脇に肘をつき
睦が甘い吐息をもらす。
舌を絡ませ、ゆっくりと唇を味わう。
睦は、どこもかしこも甘い…。
「…ん…っ」
息苦しさに声を上げるので、
仕方なく解放してやる。
「…っ…なんだろ…すっごく、すき…」
「…お前可愛すぎだろ」
ぎゅっと抱きしめて、
ズレた布団をかけ直してやる。
「重たくないの?」
「幸せの重さ」
「やーだ、重たいってコト?」
「軽い軽い」
つい笑ってしまう。
こいつとの、この他愛もないやりとりが
幸せで仕方ない。
「なぁ、睦の弁当屋はどこにあるんだ?」
あわよくば買いに行ってやろうと思っていた俺に
「ん?おっきな学校の近く」
奇跡は起きる。
おっきな学校…
「俺の明日の昼メシ、決定じゃね?」
「そうなの?」
意味のわかっていない睦は
きょとんとしていた。
睦は何で俺が、急に昼メシの事を言い出したのか
ずっとわからずにいた。
翌日、昼休み。
職場の弁当屋に現れた俺を見て
腰を抜かさんばかりに驚いた睦に
俺は大満足するのだった。
☆ミ