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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




私の仕事は雑貨屋さん。

自分で作った小物を、小さなお店で売っている。
それを、いろんな人が見に来てくれて、気に入ってくれて、買って行ってくれる。
何かの時に身につけてもらえて
少しでもその人を楽しい気分にさせてあげられたらいいなと思う。

女の人は、きれいで可愛い物好きが多いから
作るのも楽しくて、
簪や帯飾り、腕輪や耳飾りなど色んな種類を作っている。

狭いというのもあるけれど
店内はほぼいつもたくさんの人で溢れていた。
女の子連れや恋人同士、親子で来てくれる人もいた。


そんなある日訪れた
この場に似つかわしくない程の大男。
背中には物騒なものを背負い
身の丈は……
とにかく今まで見たことのない程に高い。
店の入り口よりもまだ高い。

こんな大男が用のある店ではないのだが…。

…でもいろんな装飾を身につけているし
こういうのが好きな男性だっているかもしれない。


自分が浮いていることなど気にもとめず
店内を物色する男。
ちょうどお昼時な事もあり
お客さんは彼一人。

手持ち無沙汰な私はつい勝手に
その人の事情に思いを馳せる。


自分が付けるのかな…
だったら、群青の襟飾りなんてどうだろう。
あぁ、
男性向けのアクセサリーも良いかもしれない。
シンプルで、でもキラッと光るような…。
女性からのプレゼントとしてもいいな。

それとも恋人への贈り物?
真剣に見てくれているしそうかもしれない。
小さな可愛い女の子かしら。あぁでも
しっかりした美人のお姉さんも
この人には似合いそう。

この季節
淡い桜色の簪なんて良いかもしれない。
向こうの深い緑色の帯飾りも素敵かも…。


「…ぃ……おい!」

「はいっ‼︎」


色々想像しすぎて、現実を見失っていた。
大男が私に声をかけていたのにも気づかず…


「すみません!何でしょう?」


慌ててその人の元へ駆け寄る。


「………」


私の様子をじっと目で追うと


「……ちっせぇな」


と呟いた。

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