第13章 輪廻
家に着き、並んだ荷物を改めて眺め、
「…買いすぎ!」
怒りを通り越して呆れかえる睦が
一声あげた。
「楽しかったなぁ?
俺、お前に何か買ってやるのすっげぇ幸せだわ」
「そんな…いくら何でも
いっぺんに買いすぎでしょ…」
「嬉しいか?」
背中から抱きしめて訊くと、
天を仰ぐように俺を見上げて
「…すっごく嬉しい」
それはそれは幸せそうな笑みを浮かべた。
…そんな顔見せられたら…
目を合わせて、顔を寄せる。
近づく度に、睦の笑みは影をひそめ…
唇が触れるか触れないかの所で、
ぴたりと止まった。
「……なぁ、俺が、好きか?」
まだ、お前の口から聞いてない。
「……」
「睦…」
甘えるように鼻先にキスをした。
ぴくりと震え、ぱちりと目を見開く。
「…え、と…」
「…ん?」
「…え…?」
とぼけたフリをしてにこっと笑うと
そろりと顔をそらそうとする。
「逃げんな」
こちらを向くように、両手で首を固定する。
「…っ」
「…俺はお前が好きだ。お前は?」
「やだ、急に何言うの」
何かをごまかすような笑い方をした。
何をごまかしているのかなんて、
俺にはわかりきっている。
「…ちゃんと俺の目を見ろ」
少し強めの声で言うと、
狼狽えながら俺から逃げようと体を捩った。
「逃がさねぇって。…こっち向け」
捩った方向に、くるりと体を回して
向かい合わせにする。
「!」
図らずもそんな体制になった睦は
困ったように俯いた。
「…なぁ、勝手に推測してもいいか?」
「推測…?」
「あぁ。違ってたら否定しろ。…
お前ホントは、
あんなシゴトができる女じゃねぇなぁ?
そんな精神力、実はねぇんだろ」
睦は、心の読み取れない表情で
俺を見つめていた。
何を言い出すの、と言いたそうにも見える。
「お前はただ金のためだけに、
自分をキカイに仕立て上げた。
愛し合う事を知らないまま
ただ相手の欲を満たすためだけに
感情を押し殺し、
相手を悦ばせる術だけを身につけた。
…そうだろ」
「……」
俺は両腕を睦の身体に巻きつけて
ふわりと抱きしめてやる。