第52章 スルタンコラボ更に追加 〜睡蓮の願い〜
「なに緊張してんの?」
不思議そうに訊く天元は
そっと私の背中をさすってくれる。
その仕草にホッとしつつ、
「好きな人と居れば、
それなりに緊張もするものでしょ?」
それを聞いた天元の
ニヤリと口角を上げる表情を見て
バカ正直に何を答えているのだと
自分に呆れてしまった。
「俺と居て、まだ緊張すんのか。
相変わらず可愛いなぁ睦は」
両腕でぎゅうっと抱きしめられ
互いの身体が密着する。
シルクのネグリジェに薄い羽織姿の私は
その温もりに
うっかり寄り添ってしまいそうになった。
こちらからそんな事をしたりしたら……
左手が腰のあたりに添えられて
右手はスッと私の頬を撫でる。
顎に辿り着くと、クイと上向かされ
熱っぽい瞳で凝視められて……
「…天元、」
「ん?」
「私ね、最近…」
「あぁ…?」
「お勉強してるの」
「……は?」
天元の目の色が、正気を取り戻した。
いや、
意図的に、取り戻させたのだけれど。
こんな、甘い雰囲気をぶち壊しにする私に
天元は珍しくぽかんとして
開いた口が塞がらないようだった。
「別に政治のことに首突っ込むつもりはないの。
だけど天元の隣に長くいるつもりなら
ちょっと齧っておいて損はないと思うのね?
だから…」
「おい睦」
「私なりにお勉強中なのよ。
天元が愚痴でも零したくなったら
うんうんって聞いてあげたいもの。
わかったフリじゃちょっと情けないで…」
「いや!待て待て、」
抱きしめていた腕を緩め
私の顔を見て、天元は言葉を遮る。
仕方なく話を中断させると
私の肩に両手を置いて大きなため息をついた。