第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
腰に腕を回されて
降りようにも降りられず
困り果てた私は
「喉…っ乾いて…」
ぐるぐると頭を働かせ
どうにかうまい言い訳をと
ようやく苦しいひと言を紡ぎ出した。
「喉?あぁ、そうだな…」
宇髄さんはそう言いながらも
きっと私の事を怪しんでいるのだろう。
腕の力を緩めようともしなかった。
「…で?ほんとは何考えてる?」
ほらやっぱり…
「何もありません」
私ははだけた着物を手繰り寄せ
宇髄さんの目から胸元を隠す。
でも顔は背けたまま。
…どう考えても不自然だ。
身体を重ねたのは初めてじゃない。
それどころか、もう何度目かわからない。
なのにこんなふうに恥ずかしくなるなんて
私がどこかおかしいのかな。
だけど宇髄さんみたいに
平然と顔を合わせられないのだ。
恥ずかしいものは恥ずかしい…
私からしたら
ここまで平気でいられるのは何故?と
問いたくなるくらいだよ。
「なんか気になる事があったな?
何だ?さっきのか?」
あぁああ‼︎
どうして思い出させるような事を言うの!
「違いますっ‼︎」
「……いや絶対ぇそうじゃん」
いやだあぁあ!
「違うもん!」
「何が気になった?気持ちよくなかったか」
「……」
私はもう、絶句だ。
何の話?
こんなに大っぴらにするものなの…?
「なら今からでも全然やり直せるけど」
まだ宇髄さんの腰に跨ったままの私のお腹に
自身を擦り付けて主張する。
「違いますってばっ!」
「違わねぇだろ?
さっきのが気になってるのは事実だよな」
宇髄さんは小さくため息をついた。
「あのな睦。俺いつも言ってるけどな
コレは、愛の確認なんだよ。
俺が睦を愛してて
それをちゃんと受け止めてもらえるかって…
すげぇ大切な事だって思ってる」
すごく、真面目な口調…
それにつられて、私はとうとう
宇髄さんを振り返ってしまう。
すると
やっと目が合った事に喜んだ宇髄さんが
ひどく幸せそうに微笑んでくれた。