第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
目を閉じたまま俺が伝えると
「えぇと…」
遠慮がちに睦が口を開いた。
このままじゃ眠れない?
それとも
がんじがらめがうっとおしい?
どんな文句が飛んでこようが
俺はこの腕を解(ほど)くつもりはない。
「朝1番に音柱様に会える事が私は幸せです」
「……ん?………おぉ」
そっか。
…ん?
睦のつむじに顎を置きながら
俺はしばし思考が停止した。
まっったく予想外な言葉を聞いた気がして
混乱の渦に巻き込まれる。
「え、お前コレ嫌なんじゃねぇの?」
てっきりそう思い込んでいた。
あぁでも、困る、と言っていたんだっけ。
「イヤじゃありません。
むしろ、嬉しいですけど
相手が音柱様なので緊張はします。
誰かにこうしてぎゅってしてもらいながら寝るの
すごく久しぶりなので…」
「誰にされてたんだこら」
「おばあちゃん」
「おーう誤解したわぁ」
悪かったな。
でもよかった。
どこぞの男だったらどうしてくれようと思った。
…勝手なモンだ。
こいつが俺だけのモノであって欲しいなんて。
「睦」
「はい」
「睦は俺が好きだな」
「…はい、」
「俺だけのモンか」
「そ、です」
自分の気持ちと相談しながら
ゆっくり嚙み締めるように返事を寄越す。
そうされると信憑性が増して嬉しいものだ。
「俺も睦が好きだ。
だからお前だけのモノになってやる。
…このイミ、わかるか?」
恋愛なんかした事のない睦には
そんな事わかるはずもない。
でも、それでも
わかっていてもらいたかったんだ。
だからわざと、そんな訊き方をした。
「え、っと… 恋仲、って事ですか…?」
「そうだな。って事は?」
「えぇ?…」
睦は少し考え込んで、
そのまま固まった。
「………」
このまま待っていた所で
どうやら答えは出ないようだ。
まぁ唐突にそんなこと訊かれて
答えられる方がおかしいか。
「俺だけ見ててくれなきゃいじけるぞって事だ」
「いじける…」
睦が目を丸くしてこちらを見上げた。