第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「睦がコレを着てるとこが見たい。
でも俺は今から任務に向かわなきゃならねぇ」
「あ、…」
そうか。
このまま居られるわけじゃないんだった。
「…もしかして淋しいとか思ったか?」
ポンと、手を頭に乗せて
音柱様が嬉しそうに笑う。
そんな顔見せられたら
誤魔化そうという気も失せるよ。
だから
「はい」
素直にそう答えると
ニッと更に口角を上げた。
「だから
コレ着て俺のこと待ってろって言ったの」
「どうして…コレを?」
音柱様が持ったそのワンピースを横目で見る。
出来れば着たくないのだ。
似合わないに決まってるから。
「着てみて欲しいと俺が思うからだ。
可愛い睦が待ってるかと思うと
早く帰りたくなるし
任務も円滑に終えられるだろ?」
「かわいい…」
「ん?」
「可愛い?私?」
自分を指差して確認してみる。
当然ながら聞き慣れない私には
何だか似つかわしくない言葉のような気がして
頭の中が不思議でいっぱいになった。
「そ。睦が。
俺と2人の時くらい
女っぽくしてもいいだろ?」
「音柱様にお見せできるような仕上がりは
期待できないと思います」
「それは見てから俺が決める」
「自信がないんですよ、」
「そうなんだろうな。それはわかるが…
俺の願い、聞き届けちゃくれねぇかな」
そう言いながら伸ばされた手が
私の頭を引き寄せ
自分の胸元へと導いていく。
額がそこに軽くぶつかると
優しい鼓動が響いてきた。
生きている証と温もりが私の胸を熱くさせた。
なによりこうやって触れ合えるのは
私にとって大きな幸せで…
「ここへ、また来て下さるんですか?」
「あぁ。ここに帰って来る」
帰ってくる
私の所に
「私は待ってていいんですか?」
「眠たかったら寝ててもいいぞ」
「そうしたら起こしてくれますか?」
質問責めの私に
音柱様は小さく笑った。
「なんだ睦、どうした」
愛しげに微笑まれると
私はもう我慢がきかなくなってくる。