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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.






乱撃をくらった異形は
唸り声を上げながら地面へと
その身を叩きつけた。

着地した私は
もがき苦しむ異形の首目掛け
切り込んでいく。

だけど

その途中、ぐらりと視界が歪んだ。
膝からカクリと力が抜け
1歩踏み出したのか、
地に足をつけているのかもわからない。

まばたきをしたり、頭を振ったりするけれど
眩暈のようなそれは
まったく治まりはしなかった。

視界が揺らぐ。
幾重にも見える異形。
焦りに呑まれそうになり
私は己を律した。


落ち着け。
耳が、使えるから…


視界を塞ぎ全てを耳に集中させる。
その瞬間に露呈したのは、
さっき異形に傷付けられた右腕の痛みだ。
手首と肘の中間地点。
そこが波打つような感覚がして
パッと目を開いた。

すると
着物の袖ごと斬られた皮膚は
真っ赤な血を吐き出しながら
真っ青に爛れていたのだ。

掠めただけに思えたのに
まるで傷口に硫酸でも流し込んだよう。

猛毒なのか…

それが私に入り込んで、
この有様だというわけだな。


頭痛がして来た。
足元も覚束ない。
眩暈はひどくなる一方で
だけど…


しつこく私を狙う大鎌。

それをなんとか躱(かわ)しつつ
こちらも負けじと隙をつく。


首が斬れればそれでいい。
例えば、この命が尽きても。

今の私ならば
両親の元へ、
胸を張って行ける。


耳が何かに塞がれたように詰まって行く…

いよいよ終わりかもしれない。

それでも狙うは鬼の首。
右の腕を足で踏み付けにして
地面へとめり込ませた。
その勢いで倒れ込んだ巨体。

振り下ろした日輪刀が
確実に首根を捉えた瞬間…

脇腹に、焼けるような痛みが走った。

「…っ…ぐ…‼︎」

あまりの事に
声すら上げられない。

空いた左の鎌が、
私の体側を切り裂いていた。
分厚いはずの帯も
鎧代わりにはなり得なかったようだ。

腕に受けたものとは段違いの深傷(ふかで)。
だがそんな事に構ってはいられない。
どれだけ切り刻まれようが
この首だけはとってやる…!

「うぅ…ぁあああ‼︎」

なのに、


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