第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「また櫻井だって?」
「あぁ、そうなんだよ」
「すげえよ、あの恋柱様と張るんだから」
噂話?
内緒話…
何にせよ、まる聞こえ。
鬼殺隊、という組織の中。
『柱』という存在はただ恐れられている。
私にすれば、
なんで?
と、疑問しかない。
特に、恋柱様は可愛らしいだけの人だ。
…ちょっと変わり者だけど。
みんなちゃんと話した事ないのかな…。
そりゃ、偉そうにしてる人とか
イヤミっぽい人もいるけど。
…本当に怖い人もいる気がするけど…。
…すごすぎる人達だから
恐縮しちゃうのはわかる。
でもそれをただ恐れるのでは
失礼に値しないだろうか。
目上に対する礼儀は弁えるが
必要以上の行為を
私は良しとは思えないのだ。
相手は鬼じゃない。
人間だ。
話せばわかるし、
叱りはすれど
襲っては来まい。
ちなみに、
私が恋柱様と何を張っているのかと言うと。
「櫻井くんっ!
今日もいっぱい食べたわね!」
そう、食べるごはんの量だ。
恋柱様はたくさん召し上がる。
それはもう、
『たくさん』なんてものではなかった。
清々しいとも思えるほど
何とも滑らかに召し上がるのだ。
現在、女性の柱はお2人。
1人は胡蝶しのぶ様。
小柄ながらも精神力は素晴らしく
毒の力で鬼を倒すらしい。
いつも穏やかに笑っていらっしゃるが、
あの貼り付けたような笑顔は
あまり好ましくない…。
何を考えているかわからなくて、
どうしたらいいかわからなくなる。
だけどあの人もきっと、
つらい事があったのだろう。
そしてもう1人が、
この甘露寺蜜璃様だ。
戦っている所を1度だけ見た事がある。
縦横無尽にうねる刀の威力は絶大で
とても不思議な戦い方をされていた。
その恋柱様を観察した所…
いつもにこにこ笑っていて、
めちゃくちゃたくさん食べる…
という事がわかった。
そこからだ。
私がたくさん食べるようになったのは。