第47章 .☆.。.:..渾然:*・°☆.
もう、何をどうしてやろうか。
悩みに悩んで俺は睦を連れて
あの隠れ家へと来ていた。
泣いて泣いて泣いて泣いて
普段の睦なら
あんな場所であそこまで泣くなんて
まずあり得ない。
だがそんな事を構っちゃいられないくらいの
出来事があったのだ。
それをわかっていて
泣き止ませる事なんて俺には出来なかった。
悲しみは、涙と一緒に流し切らなければ
先には進めない…。
ようやく泣き止んで、
立ち上がらせた所へまた涙。
どうしたもんかと思ったが
無理やり引きずってくのも可哀想な気がして
睦の気が済むまで
その場にとどまっていた。
そのうち日も傾いて夕闇迫る頃、
泣き叫びはしなくなっていたものの
魂が抜けたようにぐったりと座り込み
指一本動かす力もなくなった睦を
仕方なく抱え上げてやると
当然とでも言うべきか
なんの抵抗も見せず
なすがままになっていて…。
まるで眠っているかのようにも思える。
それが痛々しくて堪らなかった。
可哀想、なんて言ったら失礼かもしれない。
だけどこれは…
あまりにもひどい落ち込み方だ。
ここまで堕ちた睦を
どうしてやろうかと考えるも、
そんな事を考えた所で
答えなんか出るはずもない。
1度、屋敷に戻ったものの
出迎えた3人が、
睦な悲惨な様子に、
あの能天気な須磨さえも言葉を失い
こりゃ睦だけじゃなく
みんなにいい事ねぇなと思った俺は
ここまで足を運んだというワケだ。
ここなら、
誰に心配をかける事もねぇ。
どれだけ時間を掛けてもいい。
ちゃんと、
心が立ち直れるまで
そばにいてやるから。
庭を一望できる縁側に睦を座らせて
その隣に座り、
力の入らない身体を支えてやる。
「睦、桜が綺麗だな。見えてるか?」
睦の頭はぐったりと下を向いたまま。
桜を見るどころの話ではない。
こうやって、
身体を支えることしか出来ない
無力な自分がもどかしい。
だがこればっかりは
自分で心を保ってもらわない事には
どうにもならねぇな…