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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第46章  .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.





そんな私の心を知ってか
宇髄さんは果てしなく優しい笑みを浮かべた。

下がろうとする私の背中を
グッと押し出して、
自分は1歩後退する。


不安に押しつぶされそうで
助けを求めて振り返る私に
宇髄さんは小さく頷いてくれた。

でも、覚悟なんか
とてもじゃないけどなくて…
それでもなんとか前だけは向いた。

だけどまともに相手を見る事も出来ない私は
手持ち無沙汰に指先を絡めながら
少し俯いて目を泳がせるだけ。

踏ん切りのつかない私の耳に
フ、と笑いの混じった吐息が届き、
私はハッとして顔を上げた。

そうして、
見上げた先には、
私のだいすきな笑顔があって…

泣きそうになった。

「変わらねえなァその感じ」

あぁ、自分こそ変わらない。
その悪人ぽい感じ。

…だめだ。
認めざるを得ないみたい…

「おと、さん…?」

確かめるために呼んでみる。
声が震えて仕方ない。

もう会えないはずの人。
きっとこの世にはいないんだって、
小さなお墓まで作ったのだ。

それなのに——


うん、と大きく頷いて
にっこりと笑ってくれる。

私がさっき恐れていた事を
きっとわかっていたのだろう。

睦からおいでと
両手を開いて待ってくれる。
自分から歩み寄ったのでは
余計に恐れさせるかもしれないと
思見てくれたようだった。


もう、
そこからは我慢なんかできるわけがない。

会いたいという積年の願いと、
それが叶った驚喜。
いないと思い込んでいた大好きな人が
目の前に現れた境遇。
またあの腕に抱かれる事が出来るという
大きな期待…

ねぇ、その腕に飛び込んだら
間違いなく抱きしめてね。
その瞬間に消えてしまうとかはナシにしてね。


だけどすぐに、
その不安は払拭される。
広い胸に飛び込んだ勢いのまま
しっかりと抱きとめてくれたから。

あぁ知ってる。
この温かさ。
この力強さ。

この人だけが私の救いだった。
まさかまた、抱きしめてもらえるなんて、
考えてもみなかった。

無意識に流れる涙が、
お父さんの着物を濡らしていく。


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