第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
翌朝、昨夜の約束通り、
朝メシの後すぐに
睦の自宅へと2人で向かった。
屋敷を出て、町を抜け、
人気が無くなってくると
どちらからともなく互いの手を取り、
深く指を絡めた。
春の陽気にせせらぎの音は心地よく、
ちらほらと綻び始めた桜が
睦の目を奪う。
期待に胸を膨らませ
小さく笑ったその顔の
なんと美しかったこと…
昨夜の睦は
いつもと少しだけ違っていた。
俺が原因だったのか、
それとも
他に何かがあったのかまではわからない。
ただ、淋しさや悲壮は感じられず、
…とするとやはり
俺の想いに感化されたとしか思えなくて…
それでいい。
もう片想いには飽きた。
目の前にいる睦が
俺に胸の内をあかすのであれば
それに越した事はない。
そうやって
1歩ずつ近づいて行くのも悪くねぇ。
いや、
むしろそれがいい。
寄り添って、ぶつかって、
2人の形になって行きたいんだ。
そうでなきゃ、つまんねぇよなぁ…?
なぁそうだろ
「睦…」
大桜に目を奪われていた睦は
ハッとこちらを振り返った。
いつもはひとつに括っている髪を
今日は緩く編んで
左の肩に纏めているからだろうか。
元気な印象からは一転、
しとやかな雰囲気を醸し出していて
どきりと胸が震えた。
こんな些細な違いが
俺を喜ばせるのだ。
こうしていれば、
おとなしくて清楚な女にしか見えねぇのに…
昨夜の乱れっぷりと言ったら
この姿からはとてもじゃねぇが
想像もつかねぇ。
俺を渇望するあの眼差し。
身体の隅々まで俺に明け渡しながら
しなをつくって甘くねだる姿は
あまりにも妖艶であでやかだった。
……今思い出したらヤベェと思う…
「はい…?」
呼びかけたくせに続きを口にしない俺に
不思議そうな表情を浮かべ首を傾げた。