第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
知らないうちに
深いシワを刻んでいた眉間…
力を抜けと言わんばかりに、
宇髄さんは数回、口唇を押し付けた。
涙を堪えていた、なんて
何となく言い出せなくて…、
もう苦笑いするしかなかった。
「ん?」
「ううん…、もう大丈夫」
大丈夫って言われても、よくわからないだろう。
そもそも、ごまかすために放ったひと言だ。
なのに宇髄さんは満足したように
「そうか、お前がいいならいい」
何度か頷いた。
その様子を見て私の心が
小さな歯車を回し始めた。
「…私、」
「んー、」
呑気な返事。
目を閉じて額を合わせる彼は、
「誰かをこんなに好きになるなんて
思ってませんでした」
一瞬真顔になった後
ぱちりと両目を開かせた。
近すぎて合わない焦点。
それでも凝視め続けていると、
「……誰かって、俺?」
わかりきった質問を寄越した。
…なんて事でしょう…
「ンな目ぇすんなよ。わかってるけどな、
ちょっと確認してみたくもなるだろ」
「私がそんなこと言うわけないって?」
「なかなか慣れねぇからよ…」
「もー…言うんじゃなかった」
あーあ、と後悔しながら
彼に背を向け毛布に顔をうずめた。
私の心を動かした歯車が
ぎしぎしと音を立てる。
そこは自然にさ、流してくれてもいいじゃない。
「あー、睦ちゃん、ごめんて…」
困ったような声が私を追いかけて来る。
そうして、背中から伸びて来た長い腕が
私を毛布ごと、ぎゅっと抱きしめた。
「でもほら、俺だって片想いが長かったワケだし
夢じゃねぇかって思ったりするんだよ」
……
ふと顔を上げ、
そろりと振り向くと
私の顔を見て怒っていない事を悟ったのか
「なぁ、俺はさ
お前に関しちゃ全然余裕なんかねぇんだよ。
かっこ悪ィけどなぁ…」
ちょっと笑って、
ちょっと照れくさそうに、
とっても、優しく
「かっこ悪くありません」