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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第45章  .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.






私は、ひとりっ子です。



小さい時に、
近所の子たちにはみんなきょうだいがいた。
一緒に帰ったり、
けんかになってもすぐに仲直りして…
助け合ったり庇い合ったり、
甘えて甘やかせるその関係が
とても羨ましかった。

私にも、きょうだいが居たらよかったのになぁ

未だにそう思わずにはいられないのだ。





「兄弟ぃ?」

手始めに、
私に1番近しい者となりつつあるこの人に
兄弟について尋ねてみる。

だけどこの人は、
兄弟の話となるとあまりいい顔をしない。
いや、
まっっったく、いい顔をしない。

「俺に訊くなよ。悪いんだけどなぁ、
お前に話せるような事は何もねぇよ。
俺はいい兄貴なんかじゃなかったしな」

話しにくそうに目を逸らし
がしがしと頭を掻いた。

「えぇ…宇髄さんが
いいお兄ちゃんじゃないわけありません」

私は納得できなかった。
だって、

「こんなに世話焼きで優しいのに…」

「はは、それはお前相手だからだよ」

よしよしと頭を撫でてくれるその手は
間違いなくあたたかいし
人間味に溢れている。

「うそですよ。雛鶴さんたちにも、
知らない人にまで
ちゃんとしてあげてるじゃありませんか」

「んー…」

悩ましげに眉を下げ笑う宇髄さん。
飽くまで答えを濁す構えだ。

だって解せないでしょう?
こんなに優しい人なのに。

「いろいろあるって事よ」

「いろい、ろ…」

ハッとして、彼を見上げる。

その目を見て、感じるものがあった。

私はもしかして、
取り返しのつかない質問を
繰り返していたのではないだろうか。

家族だって、
いろいろあるよ。
その事は、私が身を持って知っていた事。
それなのに…

「ごめんなさい。私、…」

私は自分の口を、指先で塞いだ。

訊いたらいけない事だったんじゃ…?
きっと、思い出したくない事を
思い出させていたんだと、
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


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