第41章 輪廻 〜if〜 後
両手の自由を奪われて、…
背中は窓ガラスに押し付けられて
身動きも取れないし。
なにが悔しいかって…
自分の体だっていうのに
まったく思い通りにならないという事だ。
こんなに歴然とした力の差を見せつけられて
今までどれだけ私に譲っていたかがわかる。
だけど、
思い通りにはならないけどさ
これだけ力を入れてるわけだから
抵抗している事くらいは伝わると思うんだ。
なのに…っ
全然離れない…。
唇は塞がれたまま深まって、
もう息もうまく継げない。
「…ッ、くる、し…っ」
少しだけ顔を背け
できた隙間から吐き出した文句を
埋めるようなキスが攫う。
身を引こうにもガラスが邪魔して動けないし
すごい力で圧迫されるし
息も上手くできないとなると、
そうしたいわけではないのに涙が流れてくる。
「んぅん…っ」
動ける範囲でかぶりを振った。
それでも離してくれない先生。
あちこちに顔を背けて逃げるけれど
上手に追ってくる口唇はまったく離れてくれず
そのおしおきなのかと思うくらい
先生は私の口内を容赦なく蹂躙する。
頭の中を掻き混ぜられるようなキスに
力が抜けてカクッと膝が折れた途端、
そこを狙ったかのように唇が離れた。
急に解放された事で
一気に酸素を取り込んだ肺が持ち堪えられず
大きく咳き込む私と額を合わせ
「…悪ィ」
先生は小さく謝る。
「…っはぁ、…な、に…っ」
激しい運動の後みたいに酸欠状態。
頭がうまく回らない。
「睦は俺の…」
小さな呟きが優しいキスになって降ってきた。
「わか…たから…」
先生のキスで身体が変化した私に満たされたのか
さっきまでの激しさはなくなり、
私を労るみたいに啄むようなキスを繰り返す。
それでもまだ整っていない呼吸は苦しくて…
「ん、も…むり…っ」
合間に訴えると、
先生はふと動きを止めて
「…俺もムリ、」
色を含んだ声を出した。
…私のと、意味が違うように聞こえる。
先生の目を凝視め窺う…
「……ナニが、ムリなの?」
「お前が考えてるのと同じこと」
「ウソだ。私そんなコト考えてない」
「そんなコトって、どんなコト?」
「……」
黙り込んだ私に先生がニヤリと笑った。
再び寄せられた唇に、
卒業の日まで待てるかどうか、
私の方こそわからなくなっていった。
☆彡