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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第8章 続




腹を緩めに蹴り飛ばしてやると、
簡単にとんでいき、店の戸板にぶち当たる。
呻きながらうずくまるそいつを尻目に
俺は屋根へと飛び移り睦を探した。

開け放たれた窓から中を覗くと、
何ともおぞましい光景が広がっていた。

着物を乱された睦が、
どっかの畜生めに組み敷かれている。
俺は怒りのあまり、
或いは夢の類と勘違いしたのか、
瞬時に動く事ができなかった。
ヤローが睦の着物を押し開き
上半身を露わにさせると首筋に口づけた。

「…っい…やぁあ‼︎宇髄さ…ん!」

睦が泣き叫ぶように俺の名を呼び
助けを求めた瞬間、
俺はそいつを思い切り蹴り飛ばしていた。
部屋を仕切る障子を巻き込んで気絶した男。
そんなもんで、収まらねぇ。
殺してやりてぇ。
俺の睦に、触れやがった。
そう思って足を向けるが、
着物をくんっと引っ張られる。
苦しそうな睦が、
必死に裾をつかんでいた。
何で止める。

「…だめ…」

お前は怖い思いをさせられたろうが。

「何がダメだ‼︎お前に触れていいのは俺だけだ‼︎
それをこのヤロウ…!」

許さねぇ。
すると、意識を取り戻したそいつは
高慢に俺を睨みつけ

「き、さま何をした!この私に、こんな…」

この俺様に向かって来そうな勢いだ。
上等だぁ、

「黙れ‼︎てめぇこそ俺の女に何しやがった‼︎
拷問の限りを尽くして地獄に落としてやらぁ‼︎」

睦の手を振り払い、
ヤローに踏み出すと、さっきの勢いはどこへやら
悲鳴を上げて、とっととずらかりやがった。

「待ちやがれ畜生め!」

逃がしてなんかやるつもりはねぇ。
柱へ縛りつけて、ツメ一枚から剥がしてやらぁ。
本気でそのつもりだったのに、

「宇髄、さん‼︎」

行くなとばかり、
ツラそうな睦に呼ばれ足を止める。
紅い頬、荒い息…何だ?

「大丈夫か⁉︎どうした、またぶり返したか?」

髪に指を差し込んで
熱の具合を確かめると、

「…んっ!」

震えて甘い声を上げる。

「…睦?」

「何だか…わからないの…っさっきから…
熱が高いのか…あつい…」

確かに頰は紅いし熱っぽい、
加えて病み上がりだ。



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