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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第40章 クリスマス





「クリスマスって知ってる?」

睦のそんなひと言で始まった騒動。
一体何がどうなっていたのやら……

















寒い寒いと自分の両腕をさすりながら
睦は当たり前のように俺の部屋に入ってきた。
畳にストンとすわると、
冷え切っているだろう指先を開いて
火鉢にあたった。

「あったかい…」

寒さゆえ力の入った体からふわりと力を抜き
睦は優しい笑顔になる。
今この屋敷の中で、
ここにしか火鉢は置いていない。
いや、あるけど、使っているのはこれだけだ。

「自分のとこにも入れていいんだぞ?」

火をおこせば自室もあたたまる。
洗濯物をたたむにしても
つくろい物をするにしても、
その方が効率がよくなるだろうに
睦は勿体ないと、
そんな理由で炭を入れずに過ごすのだ。

「うん、いいの」

たまにパチっと火の粉を噴く炭に
ひょっと肩を竦めながら
嬉しそうにしている睦。

「そんなに遠慮しなくても
備えは充分なんだから…」

「別にもったいなくて
炭を入れないわけじゃないんだよ?」

「そうなのか?」

にこにこと笑いながら
睦は火箸を持って
炭の向きを変え始める。
…いつもよりにこにこだな。

「いい事でもあったのか?」

俺は読んでいた本のページに指を挟んで
読書を一時中断させた。

でも睦は、えへへと笑うだけで
それ以上何もいわなかった。
ふと見ると、指先が真っ赤になっている。
よっぽど冷えているのだろう。

「…そんなになるまで何してたんだ?」

「ん…これ?」

少し離れた所にすわる睦は
自分の手を見てから、
ぱーっと広げて俺に見せた。

今日の睦は何だか幼く見える。
可愛らしい少女のようだった。

「ないしょ」

くすくす笑って
その手を握ったり開いたりさせる。
随分とゆっくりだ。
指先まで血が通っていないのか
動きがひどく鈍い。

「ここでやればよかったんじゃねぇの?」

「だめだめ。だってそれじゃ
天元が落ち着かないでしょ?」

「何で俺が?」


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