第37章 初恋

この身体の中を
洪水のように駆け回る愛しさを
早く睦の中に吐き出してしまいたい。

普段きっちり着こなしている着物も
乱れに乱れて
視覚的にもかなりクる…

俺をぴたりと埋め込んで
ただ善がり続ける睦が……
激しく愛しいけれど…

確かに、
さっき睦が言っていた通り、
いつまでこんな事すんのかな。
ちっとも飽きないのは
どういった仕組みだろう。
どうしてこんなに、
この女だけ…？

「やっ…だめ、もう…やめ…っ」

睦の身体を挟み込んだ
俺の膝を力を込めて押し、
自分の身体を引こうとする。

「だぁめ…全部、俺の…」

逃げた以上に引き寄せて
そんな余地もなくすくらいに固定した。
ついでに全身でのしかかり
より深く繋がって…

「んんんやぁあ″…っ」

押し潰したような声を出し
小さく首を横に振った。

「まっ、…て。それ、いじょ…っ
しないで…っ」

「する…ずっと、する」

ゆっくり快感を与えながらそう伝えると
下からこちらを見上げて
そのまま、放心したように見つめて来る。

俺の腕に爪を立てていた
しなやかな手が
するりと肌を滑り背中へと回された。
胸元に寄せられた頬が
ほわっとあたたかくて…

触れると、あたたかいな。
このあたたかさは、俺の幸せだ。
これを手に入れたくて
…ずっと自分だけのものにしたくて、
ずっとずっと……


「…お前しかいらないのは…、
なんで、なんだろうな…」

心で思うだけのつもりが
つい、口から漏れた…

それを聞いた睦は
大粒の涙を、目から零す。

自分の気持ちが、
正しく通じたような気がして
こっちこそ泣きたくなった。

睦を、

「俺のものに…」

…

「…ばかね…ずっと、天元だけのものなのに」

「睦、」

「ん…っ」

掴まる力を強められ
ぐっと狭まった顔の距離。
危うく頭突きをしてしまう所だ。
自分でも計算しきれないくらい
睦に溺れていたようだった。

うまく力が入らねぇ…

「どんな理由でも…
俺お前だけいりゃそれでいい…」