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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第37章 初恋





「どうした?」

よしよしと髪を撫でてくれて
私は深い安心を感じた。

もっと撫でて欲しい…
ぎゅってして欲しい。
名前も呼んで欲しいし
もっとそばにいて欲しい。

——そう思ってから
気がついた。

したい事…
して欲しい事ばかり
後から後から湧いてくる。

私のわがまま。
この人を相手にすると
際限なく湧いてくる欲求。
それが許されるような気がするんだ。

今までずっと、
この先ひとりでやっていけると思っていた。
なのに、そうじゃなくなるのが
ちょっとだけ怖い。


好きな気持ちを隠したいんじゃなくて、
きっとそっちを、隠したいんだ…。
怖いから、考えないようにしてるんだ。

なら、
…素直にこの想いを伝えるのは悪くない。
ちゃんと伝えたら、
喜んでくれるのかな。

「…?…どうしたんだよ」

わしわしと
少し乱暴に髪をかき回されて

「んー…」

それでもちょっと言い淀む。

この人にすれば、
きっと景気づけのつもりだったんだろう。
やめてって言いながら怒れば
私の気も紛れると思っていたはず。

だけど今日の私は
そんなに単純じゃなかった。

この人なら受け止めてくれるとわかっていても
やっぱりちょっと躊躇ってしまう私は
結局素直にはなりきれないのだ。

残念な女だな。

「…なに言ってもいいんだぞ?」

「……えぇ?」

あんまりにも優しげな声に
ふと顔を合わせると

「言いたいこと、言ってもいいぞ?
ちゃあんと聞くから」

乱れた髪を直してくれながら
躊躇した私の気持ちを引き出そうとする。

「…いいのかな、」

よくわからない。

「1回頼る事を覚えたら
もう1人で立てない気がするの…
それが怖くて、上手く言えない…」

「じゃあ、俺のこと頼れば?」

「だからそれじゃあ、」

「いいよ、1人で立とうとしなくても」

私の言葉に声を被せて
宇髄さんは優しく、でも強く言った。

「俺がいるのに、1人で頑張る必要あるか?
俺は、睦に頼ってもらいたい。
だから何でも言って欲しい。
…って、ワガママ、俺なら言うけど?」

「……!」

私のワガママだから
さっき言いたくても言えなかった事に
気がついているみたいだった。


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