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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第8章 続





私は秋が大好きだ。
どの季節も好きだけど、秋は特別。
夏の強い日差しの中に冷たい風を感じると、
心が踊って仕方がない。
この頃、空が高い。
入道雲の向こうに、秋が待っているのだ。

夕暮れの町を、1人家路についていた。
少し前までは明るかったこの時間、
今はもう、日が落ちている。
大きな川沿いの道は、強めの風が吹き、
周りの木々を大きく揺らす。
今はまだ緑の葉も、
もうすぐ紅や黄に染まるのだろう。

門をくぐり、家に入る。
カギをかけた途端、どっと疲れが私を襲った。
…何だろう…体が、重いや…。
今日は忙しかった。
何故か今日に限って…お店は常に満員、
声をかけられる事も多く、
大口のお客さんへの引き渡しもあった。
お昼ごはんを食べる時間すら無かったのだ。
食べるタイミングを逃すと、
お腹も空かなくなってしまって、
未だに食欲なんてものは湧かない。

あぁ…疲れたなぁ。
ゆっくりお風呂につかって、早く寝てしまおう。




鳥の声で、目が覚めた。
屋根の上から、可愛らしい声が聞こえてくる。
雨戸の隙間から、明るい日差しが差し込んでいる。
日が昇り切っているのだ。

あれ?そんな時間?
寝坊しちゃった…。
早く起きて支度しなくちゃ。
開店に間に合わなくなってしまう。

なのに…。
何だろう。今日はやけに寒い。
冬が来たのかな。
…いやいや、まだ秋口だ。
私は布団を手繰り寄せて身を丸める。
…だめだ、動けない。
私は体を震わせて、
そのままうずくまる事しかできずにいた。



…寒い。…いや、暑い。
薄暗い部屋の中、
相変わらずうずくまったまま1人、
やっと体の異変を理解した。
カゼでもひいたかな。
きっと熱が高いんだ。
頬は熱いのに、体が寒くて震える。
水が飲みたくて、起き上がろうとするのに
この体はちっとも言う事をきかない。
だけどこんな時…水くらい飲まなくちゃ…。
そう思って、何とか体を持ち上げる。

布団から這い出した所で、
頭がくらくらしてしまい、
どたっと音を立てて倒れてしまった。
体中の節々が痛い。
情けないけれど、力が全く入らない。
布団に戻ることすら出来そうにない…




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