第7章 予定調和
「とっても、幸せです」
あぁ睦、そんな顔されたら、
俺はどうにかなっちまうだろ?
「睦、俺に出逢ってくれて、ありがとな」
俺はそっと、口づけを落とした。
それに応えた睦は、
「宇髄さんが、覚えていてくれたからですよ…」
…
「そうだな。俺、お前に針千本も飲ませなきゃいけねぇとこだった」
「…えっ」
「…そうだろ?自分から、
あんなゆびきりしておいて
すっかり忘れちまってんだから」
「…っそう、ですよね!ごめんなさい…」
…いやいや。
「間に受けんなよ。変わんねぇな、おめぇは」
「だって…」
「いいんだよ。お前は思い出した。
今いっしょにいる。それで、もういい」
「…うん」
俺たちはお互いをきつく抱きしめて、
いつまでもずっと、そうしていた。
昔、たった一度だけ、
ほんの一瞬の時間を過ごしただけの私たちは、
あの時の約束を違える事なく結ばれて、
この先の人生を共にする。
あの時のゆびきりは…
彼が決めた未来への第一歩だった。
彼の思い通りに、物事は進み、
私はそれに巻き込まれて、こんなに幸せだ。
これからも幸せなまま、
一緒にいられることを願ってる。
この人の、お日さまみたいな笑顔のそばに。