第35章 満天の星の下
「そんな事より続きはどうなったの?
もう腰は大丈夫だからちゃんとして」
「あー覚えてやんの…」
この流れで忘れるなら
それもいいと思っていたのに。
むしろそうなると思っていたのに…
「…その気が無いならそれでいいから
もう離して」
「離されたらどうするつもりだ?」
「だから1人で…」
「まだ言うのか…」
よっぽど熱が燻ってんだな…
俺は、胸にしなだれかかっている
睦の身体を起こしてやり
「じゃ、してみ?」
胡座の上にすっぽりと座らせた。
「……へぁ?」
素っ頓狂な声を上げて
睦は俺を振り返る。
「そんなに1人でシてぇんなら…。
ちゃんと見ててやるから」
「…天元がいるなら、
1人でするイミないでしょ…?」
まぁ確かに。その通りだ。
だが、
「するつもりだったんだろ?
やり方も知らねぇくせに」
そのひと言に、
カチンときただろう睦は
「やり方くらい知ってるよ」
あからさまにムッとして言った。
「ヘンな要求してくるお客さんも
いっぱいいたんだから。
自分でシて見せてって言われて
私ちゃんとできたんだから」
「おい、
その手のハナシはすんなって言っといたよな」
あんな話聞かされて
ムッとするのは俺の方。
怒りを含んだ声を聞いて
睦は一瞬、押し黙った。
こいつが客にいいようにされてたかと思うと
それだけで虫唾が走る。
腹の底から怒りが込み上げる。
もうどうしようもねぇ過去のハナシだ。
それでも、この怒りはどうにもならねぇ。
おさまらねぇ。
「天元が意地悪言うから…っ」
ぶつぶつとやかましい睦の口唇を、
もう何も言えねぇようにキスで塞いだ。
小さな顎を捕まえて
喉が仰け反るまで上向かせると
抵抗とまではいかないが、
それでも苦しそうに身をよじった。
キスに気を取られて
他が疎かになっている睦の
細い腰を捕まえ
自分の腹に押し付ける。
俺は胡座をかいていたその膝に、
睦の両足を引っ掛けて…
大きく開かせるために
ぐっと膝を立てた。
急にそんな体制を取らされて
少なからず驚いた睦の手を取り
きゅっと中指を握った。