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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第34章 反抗期





「んー…そうだな…」

呑気に言った天元は
何食わぬ顔で、形のいい唇を
私の顎から首筋へと走らせる。

「あ、…んや、ちょっと!
ごはん冷めちゃうから…!」

天元の大きな体をぐいっと押しやるも
両肩を強く掴まれて引き戻された。
思い切り背中を反らして逃げた所で
結果に何ら変化はない…

「…俺の晩メシ、睦がいい…」

「またそん、な…っ!ふ、ぁ…
やだ天元…冷める前にちゃんと食べてよ!」

「睦を?」

「ちが、っ、ふざけない、でっ」

ぐっと上歯を押し付けて擦られると
びくっと身体が跳ねてしまう。

「やぁ…っ天元のために、作ったのに!」

私は最後の切り札…
…というほど大層なものではないけれど、
天元の行動をやめさせるためのひと言を放つ。

「これ以上続けるつもりなら
もうごはんは作りません!」

「……」

さすがに、ピタリと止まった天元。

「…それは、イヤだ」

私の作るごはんを大事にしてくれる天元だから
きっと止めさせるだけの効力はあると思っていたが
予想以上に効果覿面だった。

ありがたいけれど何だか、複雑な気分…

私の髪を手櫛で梳いたり
着物の歪みを直したりしながら、

「ほら行こうぜ」

と、当たり前のように言い、
私の手を取って立ちあがろうとする天元に
無性に腹が立った。

ぺいっとその手を振り払い
私は先にたって歩き出す。

「おい睦?」

慌てたような声が背中に当たった。

なんなの今のは!
私の事あんなふうに扱っておいて、
この変わり身の速さよ。

いっつもそうだ。
私が嫌だといくら言っても聞いてくれないくせに
やめるとなるとものすごく淡白で
熱を上げられた私だけ、
ひとり取り残された気になる。

おかしくない?
…いや、おかしい。
ずるい。

「睦って。どうしたんだ」

どうしたもこうしたもない。
もうちょっと
名残惜しそうにしてくれてもいいんじゃない?

私の肩を後ろから掴み
顔を覗き込もうとするから
ぷいっとそっぽを向いてやる。

「どうもしません!
大切なごはんを食べに行くだけです」

自分で言ったくせに、
ごはんに嫉妬しているのかな…。
…そもそもご飯に嫉妬っておかしい気がする。



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