• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第34章 反抗期





「もーうるさいなぁ…ほっといてよ!」


私は一瞬、自分が何を言われたのかわからなくて
全身を硬直させた。

目の前にあるその子の表情が
ひどく苦しげに歪められていく。

私の記憶の中にある、可愛いだけだったあの笑顔に
ピシッとヒビが入ったような気がした…

あ…ウルサイ、って?
ほっといてって言われたのか私。

「…そ、う…ワカッタ…」

少し間を置いて
やっと事態を飲み込めた私は
ボケっとしたまま
カタコトで何とかそれだけ告げた。

だって私、
そんなふうに言われるような事したかな?
いつもみたいに、
何気なく接したつもりだったけど…
あんなに怒られるほど
ひどい何を言ったっけ…?

年頃の娘は難しいって…。
何に怒っているのかも、
何にイライラしているのかもわからないって。

ほんとにその通り…

ただ、
…私にもそんな時期あったかな……?







「何言ってるの!ちゃんとありましたよ」

「えぇっ⁉︎あったの⁉︎」

「あったよぉ、
まぁそんなにひどくはなかったけどねぇ…」

懐かしむような目をして
おばちゃんはにっこりと笑った。

「…あったんだ…全然覚えてないや…」

ショックだ…
まさか自分もあぁだったなんて…


弥生にあんな事を言われ、
そのあまりの衝撃に
私はより所を求めておばちゃんの元を
訪れていた。

そうしたら、…なんて事だ。
私にもそんな時期があったというではないか!
そうだったこともだけれど、
忘れていることにもまたショックを受けた。

「店のお弁当を作ってる時が1番だったかねぇ…」

「…そうなの…?」

「そうそう、あの時ねぇ」

おばちゃんは何故か嬉しそうに笑い、
両手を合わせて話し出す。

「お弁当が上手に詰められなくてねぇ、
それに気づいて『充分きれいだから
それで大丈夫だよ』って私言っちゃったのよ。
そうしたら睦ちゃん、
菜箸を床に叩きつけてねぇ
『うるさいな、ほっといてよ!』って…」

「えぇええ⁉︎」

奇しくも弥生と同じ台詞。
同じ態度!

「ご、ごめんなさい!ほんとごめんなさい!
私ったらなんて事を…!」


/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp