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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第33章 ゆめからの覚醒


★彡



大きく揺さぶられて、はっと気がついた。

「あ、れ…」

お屋敷の、部屋…私の。
辺りは真っ暗。

私、さっきまで、あの家にいた筈なのに…。

シンとした部屋に、
肘をついて上体を持ち上げている私は
ふと見上げた先に天元を見つけた。

「…睦?」

「天元…」

「どうしたんだ、倒れてるから驚いたぞ」

「私…何でここに…?」

「?」

天元は首をひねるばかり。
でもわたしこそ、わけがわからなかった。

「私のうちまで、
一緒に行ったよね…?」

「…いいや、?俺、今帰ったとこだぞ?」

「帰った…?」

「今日は帰れねぇって言ったものの
睦が心配になって早めに引き上げて来た」

「…うそよ…それは……だってさっき、」

私、この人に抱かれて…
…さっき?あれ、
いつのことだっけ…

「どうしたんだ、大丈夫なのか?」

私の肩に手を置いて心配してくれるけれど、
全然大丈夫なんかじゃない。

何が何だかわからない。


お前こそ、俺のこと、何だと思ってる?


あの
天元とは思えないような冷たい目…

ぞくりと背筋が凍った。

私は慌てて、起き上がって座り直し
天元から距離を取った。

「なんだ…?何でそんな怯えてんだ」

悲しげな問い。
私は彼の目、…どころか、
姿を見ることすらできなかった。

「なんでも、ありません…」

「うそつけ。何があった?」

彼の声が硬くなる。
私に手が伸びて来た…

髪に触れる瞬間、
自分でも驚くほど
全身がびくっと跳ねた。

落ち着かなきゃと思うほど
動揺が隠せなくなって、
…変に思われちゃうから
しっかりしなきゃいけないのに
そんなの無理で…

私がびくついたせいで、
1度は止まった彼の手が
再び私に触れそうになって
——それがひどく怖くって、
強く拒否してしまった。
叩き落として、しまった…

「…なんか、怒ってるか?」

眉をひそめた天元は
神妙な面持ちでこちらに目を向ける。

違う。
首を振った。
けど、

「俺が、帰らないなんて言ったから?」

天元は質問を重ねる。

それも違う。

なんだろう、ずっとずっと、現実味がない。
実感がない。
天元を見ても、何も感じない。

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