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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第6章 回想2




まだ言うのかよ。
俺はそっぽを向く。

「嫌だ。何でよく知りもしねぇお前なんかと
メシ食わなきゃなんねぇんだ」

「おいしいよ?」

何だこいつぁ。
俺のハナシ聞いてんのか。

「いらねぇ。メシなんか食わねぇ」

そんな気分じゃねぇ。

「何で?」

…は?何でだぁ?
そんなの…。

「…もう、いいんだよ」

やけくそなんだ。
もう、どうしたらいいかわからねぇ。
進むも戻るもできなくなっている今の俺に必要なのは、メシなんていう甘ったれたもんじゃねぇんだよ。
なのに、この娘ときたら能天気に続ける。

「このごはんはねぇ、私の命なんだよ?
食べるって生きることなんだって。
その命をいらないなんて言ったらいけないんだよ」

わけのわからねぇ事を胸を張って言いながら
そいつはにぎりめしを1コ、
俺に無理矢理持たせてくる。
そして持っていた荷物をそこに広げる。
まだ湯気のたつ…肉じゃが?
呆気に取られている俺を横目に
張り切って食い始めたそいつは、
一口頬張った途端、
ふにゃあっと間の抜けた笑顔を作った。
何とも幸せそうな顔につられて、俺も笑ってしまう。

「あー、笑ったぁ」

なんて言うから、

「変なヤツだな」

もっと笑ってしまった。

「変?」

そうかなぁ、と顔に書いたその娘。
言われた事ねぇのかな。

「あぁ、変だ。なんで俺に構うんだ。
別にどうでもいいだろ?」

会ったこともねぇ、赤の他人だ。

「ううん、どうでもよくないよ?
どうでもいい人なんていないもん」

…どうでもいい人なんて、いねぇ…?
そう、だろうか。
俺は今まで、誰かに必要とされた事が、
あっただろうか。
俺を俺として見てくれた人が、いた、だろうか…
それにしたって、
今会ったばかりのこいつに言われるセリフじゃねぇ気がする…。

「俺の事なんか、知らないくせに?」

お前が俺を必要とするなら…
されたか、今。
メシ食おうって、誘ってくれた…

「…うん。私は知らないけど。
大切に思ってくれる人はいるでしょ?」

「…あぁ…」

返事をしながら思考を巡らせてみるが…
そんなモンいねぇだろ。
俺はただのコマだ。
死ねば他から補充されるだけだ。
別にどうって事はねぇ。



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