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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第5章 消息盈虚




触れては離れ、深く重なっては角度を変えて。
息もできない程。

私の顔の横に肘をついて、頬を撫でられる。
薄く目を開けると、
泣いてしまいたくなる程優しい目が
私を見下ろしていた。

この人は、私に、絶対に話さない。
自分の身に、何が起きたのか。
何を、してきたのか。
…だから私も、訊かない。
だけど…
今回は。
これは、ねぇ、何があったの?
何があって、こんなになったの。
死に、かけたんじゃないでしょうね。

「…何、泣いてんだ」

「……っ…ひ…」

「…睦…参ったな…」

「…うぅ…」

「…泣くなよ…なぁ、ここに、居るだろ?」

甘えるように、首筋に顔を埋める。

「…お前に泣かれたら、弱い…」

顎のつけ根を甘く吸われて私は身を捩る。

「…っ…」

「…泣き止め」

「…ぁ…」

「…逃げたって、離さねぇよ…?」

「…ゃ…ちが…、待って…」

触れ合うより先に、想いを告げようとして、
彼の胸を押しやると
動きを止められて不服そうな顔を上げた。

「…何だ。もう、待てねぇ」

「…え…?」

「お前に、俺の愛を伝えたい。
お前からも、愛を、もらいたい…」

言いながら、私の着物を乱す。
押し開かれた胸元に、唇を滑らせていく。

あぁ、そうか。
言葉じゃ、なかったんだ。
宇髄さんは、前にも、そう言っていたのに。

私は久しぶりに触れた、
彼から与えられる口づけに
何も考えられなくなっていった。




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