第91章 88.
「顔で判断するんじゃねーよ。俺だってファミレス利用するわ」
『コンビニか牛丼って顔に見えるけどね、アンタ。
…と、この前は天空族達と戦ってくれて有難う。お陰で助かった』
番犬マンは静かに瞬きをしぱしぱと繰り返して、首を傾げる。
「ああ、あの時のか」と呟くと、首を傾げるのを止めた。
「あれはたまたま、鳥の匂いしたから近付いただけだよ。美味しくないチキンだからここで口直しに来たんだけど。実際、僕達が対峙した4体強くはなかったし、1体ずつ仕留めていけばキミだけでも十分だったでしょ」
「ま、俺も死にはしないし。でも、任せて良かっただろ。お前はすぐに無理をするからな」
俺達も飯食おうぜ、と背を押され、番犬マンに『では、』と軽く会釈して空いた席へと行く。
番犬マンっていうだけに、やっぱり主食は肉系を食べてるのかな?と窓の外でちらりと見えたふかふかな彼を見て思う。目の前の席に座るゾンビはゾンビらしくステーキにするかハンバーグにするか悩んでいるみたいだ。
私はシーフードリゾット、ゾンビマンはハンバーグを頼み、係員は厨房へと伝えに言った。
机をコンコンと叩き、呼ばれた方向を見ればゾンビマンはニヤニヤとしている。
「今回は甘いものは食わないのか?」
『痛々しい食べ方を前回あれ程したしされたんで、今日はパス』
「俺、結構アレ好きなんだよ。俺が頼むから、お前にも食わせてやるか?」
そう言われて顔に熱が集まる。そんな私の頬をつつくゾンビマン。既にこの状態でも痛々しいカップルだろうに。
やはりS級ランクの者が居るという時点で目立つもので。静かな所だったらな。
話を変える為に、そのつつく手を下ろさせた。