第73章 71.
人差し指を出し、うろうろとトランプの背を行き来する。視線はジェノスの両目。くそ、流石サイボーグ何処を指しても反応を示さない!
分からないならしょうがないじゃない。もう、何も怖くない。
適当に左から3枚目のトランプを引っこ抜いて手持ちの物と共にテーブルへと放る。ジェノスから引き抜いた物はセーフだった。
『可能なら、私が遭遇出来ればなぁ…。もしかしたら幼少期の雷に打たれて瀕死になった事もあるから雷神の力が弱点かも知れないし。試さないと分からないけど。…はい、サイタマ』
サイタマがこれか!?と私の手元から一枚引き抜く。
手元にそれを入れて、念入りにシャッフルし始める。私は分かる、先ほど私の手持ちからジョーカーが出ていったのを。それをサイタマは引き抜いて必死にジェノスに引かせる為にシャッフルをしているという事をね!
「ま、まあここん所毎日事故起こってたろ?今日は大丈夫でもよ、明日にでも誰か遭遇するんじゃねーの?」
お前の番、とサイタマの手持ちのトランプは2カ所ほど異様に突き出ている。心理戦が始まったようだ。
ジェノスは掴もうとする指先をピタリと止め、数秒してから右側の突き出たトランプを引っこ抜く。
「明日といっても、ハルカや俺達の番じゃないです。まあ、S級ですので誰かが倒せたら一番良いんですが…さあ、取れ」