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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第3章 新たなる生き方


鳥のさえずる声で六華は目を覚ました。

『朝…』

六華が光が差し込む方を見ると、手入れが行き届いた庭に水仙の花が見事に咲いていた。

『綺麗…』

その光景に思わず呟いた時、静かに部屋の襖が開いた。

「あっ、目が覚めたのですね。良かったです!」
『…えーっと』
「!名乗りもせず申し訳ありません。僕は煉獄千寿郎と言います。昨夜兄が意識を失ったあなたを抱えて戻られた時はさすがに驚きました」
(私…意識を失ってたんだ。どうりで途中から記憶が無いわけだ…)

六華がぼんやりと考えていると

「すみません…」

ぽつり、と千寿郎が言った。

「お召し物を着替えた方がいいとは思ったのですが、この家には女性がいなくて…。それに、失礼ですが、あまり見た事がない着物でしたので兄がとりあえずそのまま寝かせてあげなさいと」
『(そういえば、千寿郎さんは和装をしている。私の服装とは全然違う。でも、何でだろう。どこでこれを着たのか、全く思い出せない…)大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます、千寿郎さん』
「そんな!それに、僕の事は千寿郎と呼んでください!」

人に気遣いができる優しい子。六華は千寿郎に対しその様な印象を持った。いくつか疑問はあるが、今はこの千寿郎の穏やかな雰囲気に心地良さを感じていた。六華がそんな事を思っていると、千寿郎が何か聞きたそうな様子でこちらを見ていることに気が付いた。

『どうしました?』
「あの…お名前を、伺ってもいいでしょうか??」

…失念していた。六華は自分が名乗る事をすっかり忘れていたのだ。

『すみません、名乗りもせずに。私の名前は柊六華と言います』
「六華さん!雪の結晶の事ですね!お似合いのお名前です」
『ありがとうございます』
「兄からは、昨日鬼に襲われるところだったと聞きました。大丈夫ですか?」
(鬼…言動からして恐らく人を喰らう存在…)
「あの…」
『!大丈夫ですよ。心配してくださりありがとうございます。それで、昨日私を助けてくれた方は』
『兄上なら所用で少し出ていますが昼頃までには戻られると言っていました』
『そうですか。では、申し訳ないですがそれまでもう少し休ませて頂いてもいいですか?』
「もちろんです。水差しを置いておくのでゆっくり休んで下さい」
『ありがとうございます』

ふわりと笑う六華に千寿郎は安心すると部屋を出て行った。
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