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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第2章 闇に灯る赫き炎


「…ありが…とう…」
「!」
『…』

小さくそう呟いて異形のモノは消えていった。


********
煉獄杏寿郎はただただ驚いた。死を受けいれ喰われそうになっていた少女を助けた。鬼がこの少女は稀血だと言っていた。ならば尚のこと喰わせるわけにはいかない。
しかしどうだ。
この少女は今しがた己を喰おうとしていたモノに誰も責めはしない、生きることを責めることはしないと諭したのだ。
そして鬼に彼女の言葉が届き穏やかに消えた。にわかには信じられなかった。しかし、今己で目の当たりにしたことを否定する事は出来ない。杏寿郎は未だに愁いを帯びた彼女に声をかけた。

「少女よ!危ないところだったな!大丈夫か!?」
『!?』

突然の大声にぼんやりとしていた六華は驚きに肩を跳ねさせた。

『あ…』
「間に合ってよかった!こんな夜更けに出歩いていると鬼に喰われてしまうぞ!」
『鬼…??』
「うむ!」
『鬼とは、さっきの『人』のことですか??』
「…(この少女は鬼を『人』と呼ぶのだな)。とにかく、今日は夜も遅い。俺の屋敷へ来るがいい!」
『お屋敷、ですか…』
「うむ!」
『…』

満月に照らされた狐百合の花畑で出会った、柊六華と後に炎柱と呼ばれるまで上り詰める煉獄杏寿郎の出会いであった。
この出会いが運ぶは幸か不幸か…。それはまだ誰にも分からなかった。
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