第7章 それぞれの想いはーー
ーーそれを手にした瞬間、僕の脳裏を過ぎる夢の欠片。
ー「…周助がっ!話してるっっ!!」
『あたしは、吉井紗耶。この子は高津芹佳』
「是非、芹佳と呼んでくださいっ!!」
「周助ー、ラブリー」
「しゅーうすけっ!」ー
ーーそして、
ー「あ、周助には私がスパルタで教えて差し上げますから心配なさらないで?」
「…おー、周助カッコイー」
「ふふっ、頼もしいパートナーだね」
「今日さ、こっちに泊まってもいい?」
「…ごめっ、ん、なさい…」ー
流れ込むのは、愛しいあの子の様々な表情。
無意識のうちに、僕の頬を涙が伝って零れ落ちた。
『ちょっ、周助?あなた何泣いて…』
『…ごめん、姉さん何でもないんだ。この写真、ありがとう』
姉さんが部屋から出ていった直後、手塚から着信があった。
《ーーー不二か?》
『…手塚っ、僕…っ』
《ああ、紗耶も芹佳も…確かに居た、ーー俺たちの記憶の中に》
『…っ、うん…』
《今から行く、少し待っていろ》
全部、全部思い出したよ、芹佳、紗耶。
『っ、あの子たちを忘れて泣かせた僕にっ、泣く権利はない、』
ごめんね、忘れてしまってて。
ーーねぇ…君たちは、
も う 一 度 僕 ら に チ ャ ン ス を く れ ま す か ?
今度こそ、君たちの…君の笑顔を守りたい。
もう一度、芹佳…君の笑顔に会いたいんだ。
涙の思い出
(他の誰が忘れても、僕は覚えてなければいけなかったのに)