第7章 それぞれの想いはーー
ー別にさ、信じてほしい、なんて言うつもりはないよ。トリップ、なんて私がそっちの立場でも信じられないし?ー
『…これ、さっきのあの人の言ってた言葉…』
『俺たち6人は、確かにあの二人の世界に居たんだよ。この世界から、ーー姿を消して』
『な、に…言ってんスか、ブン太先輩…冗談『冗談じゃねぇぜぃ』
そう言って、ブン太先輩はジーンズのポケットから財布を出すと
その財布の中から、一枚の写真を俺に見せた。
『思い出せよ、俺たちと、アイツらの思い出』
その写真は、不二さんと跡部さん、そして
あの二人を中心に楽しそうな笑顔を浮かべる俺たちが居て。
ー『さっさっと言わないと監禁するわよ』ー
そして、思い出される…あれ、監禁?
いやいや違うだろ、落ち着け俺。
ー『…俺、芹佳さんと紗耶さんの事、精一杯守るッス』ー
ーーそ、うだ…思い、出した。
俺たちは間違いなくあの二人の側に居た。
それを思い出すと、さっき自分が言った、酷い言葉も思い出した。
ー『大体、漫画の世界にトリップ、なんてそんな夢みたいな事起こるわけないッスよ』
『さすがにちょっと引くッスよ』わー
あの二人がどんな気持ちだったかも知らずに、
『…ど、しよ…ブン太、先輩…俺っ、紗耶さんと芹佳さんに…すっげぇ酷い言葉を、言った』
『…ああ、俺もだ』
俺は、あの人たちを泣かせたかったわけじゃない。
『…俺、守る、って…』
確かに…俺はあの二人を、守ると誓ったのにーー。
誓ったのに
(忘れては、いけなかったのに…)