第7章 それぞれの想いはーー
(‐誓ったのに*切原‐)
俺はあの後、ブン太先輩からの電話を受けて
跡部さんたちに別れを告げて寄り道もせずに早々に自宅へと帰った。
家に辿り着くと、風呂に入ってベッドへと身体を沈める。
サッサと寝てしまおう、そう思ってベッドに潜り込むのに
どうしても、頭を離れない二人の悲しそうな顔。
ーー俺は、何か大切な事を忘れてる?
勉強は嫌いだけど、記憶力は悪くない。
そんな俺の脳ミソには彼女たちは存在しないのだ。
『…あーっ!スッキリしねぇ!』
ベッドからガバッと起き上がると何も考えたくなくて
少し走って来ようと靴を履いて玄関のドアを開けた。
ーーするとそこには、思いもよらぬ人物が
呼吸を乱し目に軽く涙を浮かべ立っていた。
『…ブン、太先輩?』
『あ、かやっ、俺…っ!』
ブン太先輩は俺を見るなり大粒の涙を零す。
俺は、その現状にどうする事もできなくて
『俺の部屋に行ってて下さい、飲み物持ってくんで』
『ご、め…っ』
取り敢えず、先輩を自分の部屋へ通した。
『…悪い、いきなり泣くつもりとかなかったんだけどさ…何て言うか、まだ混乱してて』
『混乱、って…さっきの人たちの事ッスよね』
『ーー俺、思い出したんだ』
『…思い出した、って何を?』
『取り敢えず、これ見てみろよ』
コンビニの袋からページを開いて俺に手渡されたのは
俺たちはあまり手にする事のない少女雑誌。
『そのページのセリフ、覚えねぇか?』