第7章 それぞれの想いはーー
(‐喪失の記憶*丸井‐)
俺は、あの子と越前が帰るのを見送った後、
跡部の屋敷に戻る気分になれなくて
赤也の携帯に電話して“先に帰る”と告げると
そのまま本屋で漫画を3冊購入して自宅へと帰った。
『たーだいまー』
『お帰りブン太。ご飯は?』
『…あー、いいわ』
『えっ!?大丈夫!?どこか具合でも悪いの!?』
『何でだよ』
『だって、アンタがご飯いらないとか珍しいから…』
『飯は明日の朝食うから置いといて。俺、今日はもう寝るから』
母さんにそう告げて自分の部屋のベッドに倒れ込むと
俺は今さっき購入した本を袋から出してページを捲る。
ソレは女の子二人が物語の主人公だと言う、あの漫画。
『…俺たちがこの漫画の世界にトリップしてた?冗談じゃねぇ、んな夢みたいな話があってたまるか』
そう思うのに、読み進めれば読み進めるほど、
ヒロインの二人がさっきの奴らと重なって、
俺の中に何かモヤモヤが溜まって行く。
『…アーホらし。お菓子でも買ってこよ!』
そんな独り言を零して俺はコンビニへと向かった。
コンビニに入ると、時間が時間なだけに人は少なくて
俺はお菓子とお茶のペットボトルを購入する。
その時、丁度視界に入ったのが、少女雑誌で
表紙ページにデカデカと《DREAM or REAL・巻頭カラー》と印刷された文字に
俺は無意識のうちにその雑誌を手に取ってページを捲った。
『…な、んだよ…コレ、』
セリフとして書かれてた言葉が、
さっき聞いたものと同じで、俺の頭がパニックを起こした。