第2章 物語の始まりはーー
『…芹佳。ーー芹佳ってば!聞こえてる?』
「…あ、うん。ちょっと脳内トリップしてた」
『あら、おかえりなさい』
「うん、ただいま」
『満足したなら行きましょ?』
ふわりと微笑む紗耶に私も笑顔で頷いた。
「あのサイトの夢小説、アップしてるかなぁー」
『もう3日くらい来てなかったものね。一話くらい増えてるかも』
そうこう話しているうちに紗耶の家に着き、
紗耶がパソコンを起動させてくれた。
『じゃぁ、あたし着替えて来るから勝手にパソコン弄ってて』
「ありがとー」
紗耶が部屋を出て行くと、私はパソコンを弄り出す。
目的のサイトに入り、増えてた夢小説を読み始めた。
「うっわー、超ドキドキだー。っつーか、ブンちゃん可愛過ぎ、周助真っ黒でカッコ良過ぎー!ぐわぁーっ!!こんな彼らが目の前に現れたら何でもしちゃうぜぃ!」
『…芹佳、人の家で奇声上げないでくれる?』
「奇声とは失礼ナリ。歓声と言『ぐわぁーっ!!のどこが歓声なのよ』
「あ、聞こえてた?」
『そりゃ、あんな大声で叫べばね』
「そら、失敬」
そんな時、ーーピロリン♪とパソコンが音を立てた。
『あら、メールみたい。パソコンに珍しいわね。ん、飲み物』
「ありがとー」
私は、紗耶から飲み物を受け取り一口喉に流すと、
紗耶がカチカチッとパソコンの受信メールを開くのを見てた。
すると、綺麗な紗耶の顔が微妙な顔になっていく。
あ、紗耶の綺麗な顔を返して。
『…芹佳、芹佳』
「にゃんだい?」
『変なメールが来たわ』
「…変なメール?」
紗耶のその言葉に、私もパソコンの画面を覗き込んだ。
私を知らないくせに
(そんな風に、知ってるように言わないで)