第6章 涙が零れる夢物語の世界
『冗談じゃないわ!アンタたちなんてこっちから願い下げよっ!!…行くわよ芹佳!』
『ーーおいっ!行くってお前ら帰るとこあんのかよ!』
紗耶は腕を掴む景吾のその手を振り払って大きな声を張り上げた。
『ないわよ、んな所!』
顔を上げた紗耶のその瞳には、涙が溜まっていて、
その涙は、紗耶の頬を伝って零れ落ちる。
ーーー次の瞬間、動いたのは侑士だった。
『…名前、紗耶と芹佳、でえぇんやったっけ』
「あ、うん…えと…」
『侑士でえぇよ。二人とも泊まるとこがないんやったら家に来ぃや。一人暮らしで部屋も余ってるし遠慮はいらん』
「じゃぁ侑士、紗耶の事お願いしていい?」
『構わんけど、芹佳はどないするん?』
「私は大丈夫。待っててくれてる人、居るから。それに、ちょーっと彼らに話、あるし?」
『そか。ほなコレ、俺の携帯番号や』
「うん、ありがと」
その後、侑士は紗耶を連れて景吾の家を後にした。
私は侑士たちが居なくなると残りの5人に向き直る。
「ブンちゃん、赤也」
『『なっ、何(っすか)だよ…』』
「別にさ、信じてほしい、なんて言うつもりはないよ。トリップ、なんて私がそっちの立場でも信じられないし?」
『じゃぁ、何が言いてぇんだよ?』
「女の子泣かせるなんて最低よ。それに、それを黙って見てる他の3人も最低」
『…ーーっ、!』
「私と紗耶はね、本当にあなたたちが好きだったの。…でもね、紗耶じゃないけど…アンタたちなんてこっちから願い下げ」
私は、満面の笑顔を浮かべると、そう言ってやった。
大好きだけど
(例え、大好きな君らでも…紗耶を傷付けるなら、許さないから。)