第6章 涙が零れる夢物語の世界
「本当なの。私の世界では、リョーマたちの居るこの世界が“テニスの王子様”って漫画になってて」
『テニスの王子様?…ってか、俺たち漫画の登場人物なの?』
「うん。私は、周助と立海の丸井ブン太が大好きで」
『周助って、不二先輩だよね?じゃぁ、今日学校に連れてって欲しいって言ったのは…』
「…周助に会えば、何とかなるかも、って思った。ーーでも、」
『…でも?』
「彼は、私の事“知らなかった”よ」
“君、誰かな”そう言われた時、ただ、凄く、凄くね、
ーー呼吸が出来なくなるんじゃないかって程胸が痛かったの。
もしかしたら、私は周助を本気で好きだったのかもしれない。
『知らなかった、ってどう言う事?』
「わかんない。もしかしたら、私たちの世界に存在してた皆は、ココに居る皆じゃないのかも」
『…何て言うか、すっごい混乱してる上に意味分かんなくなってきた…』
「うん、ごめんね。ワケ分かんない事言って」
『…芹佳サン、大丈夫?』
「うーん。大丈夫、とは言えないかな…自分の世界の事も気になるし、『そうじゃなくて!』
「そうじゃなくて、な、に、ーーっ!?」
突然後頭部を引き寄せられて、突っ込んだのは、
リョーマの腕の中で、私は軽く困惑。
「ちょっ、リョ、何っ!?」
『…泣きそうな顔してる』
「や、だな…何、言っ『今更何我慢してんの、今の俺には何も見えないから泣けば?』
「…ごめ、何か色々…限界、ーーっ、…」
私は、視界を埋め尽くす涙を抑えられなくて、
リョーマのパジャマを握り締めたまま涙を零した。
憧れと恋の境界線
(いつの間にか、恋になってたのかな)