第6章 涙が零れる夢物語の世界
『家族構成』
「祖父、祖母、父、母、愛猫が一匹、名前は“ブンシュウ”。そこには載ってないけど、祖父母は別居。高津財閥の一人娘」
『親友の名前は?』
「吉井紗耶、身長は161cm。肩に付くか付かないかの長さで、黒髪ストレート。少し切れ長二重の可愛いというより綺麗なお姉さまタイプ。頭脳明晰、運動神経抜群。ただし、ダンスは苦手」
『…趣味とかは?』
「読書と他人で遊ぶのが困った趣味で、好きなのは辛い物。嫌いなのは、柑橘系の果物」
『好む本や、映画』
「…紗耶はラブストーリーが好きなの。でも、私が嫌いだから私の前では読まないわ。家族構成は仲の悪い両親と弟が一人」
『…マジで、?』
「残念ながら、マジなんだな、これが」
リョーマが漫画と私を交互に見て目を見開いたから私は苦笑を漏らした。
その時、私はあの時の写真の存在をふと思い出した。
「もう一個、この世界の人間じゃないって証拠あるかも」
『証拠?』
お守りとしてポケットに入れておいた写真を出すと
それをリョーマに差し出し、私は漫画をパラパラと捲る。
「ん、その写真とこのシーン、見比べてみて」
リョーマに差し出した写真は、ダンスパーティーの時に
8人で撮ったもので、私の一生の宝物だった。
『これ、跡部さんと不二先輩…?ってか、手塚部長と忍足さん、丸井さんに切原さんまで居る…』
「登場人物の名前は違うけど、その6人が私たちの前に現れたトリップ者よ」
『嘘、でしょ…』