第6章 涙が零れる夢物語の世界
(act.03‐憧れと恋の境界線‐)
「まぁ、今のは冗談として『本気だったっしょ』
「うん、少し」
『…少し本気だったんだ』
「いや、予想以上に可愛かったから。座って、髪拭いてあげる」
『……じゃ、お願い』
私は、そのままリョーマの後ろに回ると彼の髪をタオルで拭き始めた。
私は、リョーマの頭を拭いてた手を止めてゆっくりと口を開いた。
「ね、リョーマ」
『ん?』
「私さ、どうやら…漫画の世界に住んでたみたい」
『は?意味不明なんだけど』
「英…菊丸くんに借りた《DREAM or REAL》って漫画あるでしょ?」
『朝言ってたやつ?』
「そ。アレ、私と紗耶の実体験なんだよね」
『…あー、頭大丈夫?病院行く?』
一向に信じない、リョーマ…ってか、信じられるはずもないか。
当の本人の私だって信じられないんだから。
「高津芹佳、名門のお嬢様学校の高峰学園3年、15歳。身長は155cm。本人としては沈着冷静、のつもりで学校では敬語。親友や気を許せる人には別。英才教育を受けていて、テストなど基本的に学年トップ」
『は?突然何…「私、高津芹佳のプロフィール」
私は英二に借りたまま返すのを忘れた2巻の
プロフィール部分を開いてリョーマに手渡すと
彼は、訝しげに眉間にシワを寄せた。
「…趣味は不本意ながら威嚇。好きなのは、親友の紗耶、甘い物。嫌いなのは、すっぱい物、自分の大切なもの・人を傷つける人」
『…好む本や、映画は?』
「一通り何でも読むけど、映画はラブストーリー以外。…綺麗な愛なんて存在しないから嫌い」