第6章 涙が零れる夢物語の世界
(act.02‐不可解な世界‐)
その後、私はリョーマに青学に連れて来てもらったわけだけど。
『じゃ、俺部活の朝練に行くから』
「あ、サクサク行っちゃうんだ」
『当たり前でしょ』
「……本当に行っちゃうの?」
『遅刻して走らされるの嫌だし』
「あ、ちょっ、」
彼は、私を放置してさっさと行ってしまわれました。
取り敢えず、私はと言うと…。
普通だったら拝むことのできないテニス部を間近で見てます。
いや、朝練自体まだ始まってないから人は少ないんだけど。
ーーそんな時、後ろから肩を叩かれた。
『ねぇ、部外者は立ち入り禁止なんだけど』
あ、れ?この声…。
その声には聞き覚えがあって、私は勢いよく振り返ると
彼の顔を確認にしてそのまま彼に抱き付いた。
「周助ぇー!会いたかったっ!!」
けれど、彼からの反応はなくて、恐る恐る上げた私の瞳に映ったのは
ーー少し困惑したような、彼の顔。
『えーと、ごめん。君、誰かな?』
ー君、誰かな?ー
「え?」
周助は、私の事覚えてない?
それとも、知らないフリ?
ーー違う、彼は、私の事を“知らない”んだ。
だって、この瞳はウソを吐いてるような目じゃない。
どう言う事、なんだろう?
頭がクラクラして、呼吸ができない。
ココに存在してるのは、私の知ってる周助じゃないの?
『ねぇねぇ!漫画の主人公に似てるって言われない?』
『えーいじ、ちょっと黙ってて。』
『えー!だって《DREAM or REAL》の主人公ちゃんにすっげー似てるんだよ!』
『あ、英二が越前に貸したやつ?』
『そうそう!芹佳ちゃんが超可愛くて、紗耶さんが超絶最高な性格してんの!』